同じ教科でも、複数の出題傾向に合わせた受験勉強をする必要が出てきます。入試科目数が軽減されたからといって、それに比例して勉強量が少なくなるとは限らないのです。リスクと同じく、第一志望校への努力も、分散されてしまいます。しかし、受験生にとって、とくに現役で合格を目指す人などにとっては、このような努力の分散は、できる限り避けたいのではないでしょうか。第一志望の大学、学部の出題に近い傾向を持つところを、第二、第三志望として受験戦略を組んでいくのが、集中力を高めることになります。たしかに、高校一、二年生(ホントは小学生くらい?)のころから着実に受験勉強に取り組んできて、「どんな問題でもへっちゃら」という人もいます。そして、そうした受験生のなかから、東大でも、早稲田でも、慶応義塾でも、現役で合格している人がいるのも事実です。しかし、多くの受験生は、高校三年から、遅い人は浪人してから、真剣に受験に取り組んでいるのが現状です。その前後の年頃には、好奇心のベクトルも四方八方に向いていますからしかたないでしょう。そうした受験生か、より早く受験を終え、本来の目的である大学入学を果たすために、それなりの戦略が必要です。
進学塾によっては、「君たちは選ばれた子どもだから、学校でやっていることでは満足できないはずだ。だから我が塾では、いろいろ考えさせる応用問題や難問を解いてもらう」というようなことを言うところがある。そのような進学塾では、「今の学校教育は平等主義で、できない連中を中心に授業をしているから、できる子どもにとっては役に立たない。皆を平等に扱うことは、上位の成績の子にとっては意味がない」と公言してはばからない。また、入学試験が近づいてくると、「学校を休んで塾に来て勉強しなさい」と言う塾経営者もいると聞く。塾の宿題を優先し、学校の宿題は後回しにするようにと指導している塾もあるらしい。しかし、はたして学校でやっているのは易しいことばかりで、進学塾では頭の良い子にふさわしい授業が行われているのだろうか。そんな素朴な疑問を持っている人も多いに違いない。
大学の英文科を卒業した中にも、英文を読めても会話ができない人が結構います。大学を出ていても、話せない人は相当数になるはずです。その結果が、昨今の英会話学校の繁盛に現れているのだと思います。中国へ行った人は知っていることですが、現地のガイドをはじめ、驚くほど日本語の達者な人にたくさん出会います。もしや、日本への留学経験があるのでは、と尋ねると、大方は「大学で日本語を勉強しただけ。日本へは一度も行ったことはありません」。なぜ、大学の勉強だけで、日本人顔負けの流暢な日本語が操れるのか。彼らに聞いてわかったことは、その秘密は大学における日本語教育の手法にありました。中国の大学が採っている教育法は、典型的な日本の会話文を徹底的に暗唱させられるとか。テープを聴きながらセンテンスを丸暗記し、正しく言えるか、イントネーションは正しいか、授業で真剣勝負の厳しいチェックを受ける。それを授業のたびに何度も何度も繰り返すそうです。無論、文法や文章読解の勉強はしますが、話す、聞くの学習量が日本の外国語教育に比べ大きな比重を占めているのは確かです。日本の英会話学校でも実践しているパターンプラクティスを、真剣勝負で毎回やる授業を中心にした教育なのです。